M&A仲介の手数料はどう決まる?|着手金・レーマン方式・最低報酬と、契約前に確かめたい条件

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  • 公開日2026年10月13日
M&A仲介の手数料はどう決まる?|着手金・レーマン方式・最低報酬と、契約前に確かめたい条件
結論先に答えを知りたい方へ

M&A仲介の手数料は、「着手金」「月額報酬」「中間報酬」「成功報酬の計算の母数」「最低報酬」の5つに分けて見ると、会社ごとの違いが比べられるようになります。

  • 同じ料率でも、何に料率をかけるか(総資産か譲渡対価か)で金額は大きく変わる
  • 譲渡価格が小さい会社ほど、最低報酬の重さに注意が必要
  • 安さだけで選ばず、中身を理解したうえで比べて決める

M&A会社から見積もりや契約書を受け取ったものの、何にいくら払うのか、いまひとつ分からない。そう感じている社長は少なくありません。

お金の話を細かく聞くと、がめつい客だと思われないか。担当者の機嫌を損ねないか。そう考えて、よく分からないまま契約してしまう方もいます。ただ、手数料は会社を売ったあとに社長の手元に残るお金を直接左右します。分かったうえで決めることは、決して失礼なことではありません。

この記事では、銀行でM&Aアドバイザリーに携わってきた立場から、手数料の仕組みと、契約前に確かめたいポイントを整理します。

M&A仲介の手数料は、5つのポイントでできている

一見シンプルに見える手数料も、中身は会社によってかなり違います。まずは、どんな項目があるのかを押さえておきましょう。

項目 いつ払うか 確かめたいこと
着手金 いつ払うか契約したとき 確かめたいこと何の対価か。払うと何が変わるのか。途中でやめても戻らないことが多い
月額報酬 いつ払うか毎月 確かめたいこと取る会社は多くない。期間が延びるほど負担が増える
中間報酬 いつ払うか基本合意のとき 確かめたいこと成功報酬に含まれるのか、別にかかるのか
成功報酬の母数 いつ払うか成約したとき 確かめたいこと譲渡価格に料率をかけるのか、総資産にかけるのか
最低報酬 いつ払うか成約したとき 確かめたいこといくらに設定されているか。自社の規模で重すぎないか

※料率・最低報酬・着手金などの水準は、会社や時期によって異なります(記事内の数字は2026年時点の動画での説明にもとづく目安です)。契約前に必ず各社の書面で確認してください。

動画で見るM&A仲介手数料|レーマン方式と最低成功報酬の決まり方【教えて野﨑さん】

▶ 1:31 から再生されます

成功報酬は「何に料率をかけるか」で大きく変わる

成功報酬は、一般に「レーマン方式」で計算されます。金額の段階ごとに料率を変えて足し合わせる方法で、たとえば次のような形です。

金額の段階 料率 15億円の場合
5億円まで 料率5% 15億円の場合2,500万円
5億〜10億円 料率4% 15億円の場合2,000万円
10億円を超える部分 料率3% 15億円の場合1,500万円
合計 料率— 15億円の場合6,000万円

ここで大切なのは、料率をかける「母数」が何かです。母数には、会社を売った金額(譲渡対価)を使う方法と、会社の負債と譲渡対価を足した「総資産」を使う方法の2つがあります。同じ料率でも、総資産を母数にすると金額は大きくなりがちです。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

総資産は大きいけれど、譲渡価格は小さい。そんな会社で総資産を母数にすると、手数料が驚くほど高くなることがあります。たとえば総資産10億円、譲渡価格1億円の会社なら、総資産で計算すると4,500万円。譲渡価格で計算すれば、最低報酬の水準で済んでいたかもしれません。

どちらが良い悪いではなく、分かったうえで契約しているかどうか。私が銀行にいたころも、多くの社長が仕組みを知らないまま契約していたと感じています。

Q&AM&Aの手数料(レーマン方式)はどう計算しますか?「総資産」と「譲渡対価」で何が違いますか?

最低報酬は、小さな会社ほど重くなる

多くの仲介会社は、「譲渡価格がいくらでも、最低これだけはいただきます」という最低報酬を決めています。業界では2,000万〜2,500万円ほどに設定されていることが多く、会社によっては1,000万円や500万円のところもあります。

たとえば譲渡価格1億円なら、料率5%で計算すると500万円です。ところが最低報酬が2,000万円なら、払うのは2,000万円。譲渡価格の2割にあたります。買い手側も同じように報酬を払う場合、取引全体の費用が重くなり、話がまとまりにくくなることもあります。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

最低報酬が2,000万円の会社と2,500万円の会社で、何が違うのかと聞かれたら、私は大きな違いはないと思っています。ほとんどはその会社の都合です。

譲渡価格が5,000万〜2億円ほどの規模の会社は、特に注意してほしいと思います。そうした方には、できるだけ手数料の低い、信頼できる相談先をご紹介するようにしています。

動画で見るM&A仲介手数料|レーマン方式と最低成功報酬の決まり方【教えて野﨑さん】

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Q&A最低報酬2,000万円と言われました。小さな会社には重すぎませんか? Q&A譲渡価格6,000万円で成功報酬2,000万円と言われました。妥当でしょうか?Q&A手数料を抑えるために、仲介の仕事を分けて頼むことはできますか?Q&A売却額が数千万〜1億円の小さな会社は、どこに頼めば手数料を抑えられますか?

着手金と中間報酬は「何の対価か」を確かめる

着手金は、契約時に払うお金です。会社の価値の評価や、買い手に渡す資料づくりの費用として、100万〜500万円ほどを受け取る会社がある一方、上場している仲介会社の中にも着手金を取らないところがあります。取ること自体が悪いわけではありませんが、途中でやめても戻らないのが一般的です。払うことで何が変わるのかを、自分の頭で確かめてから決めたいところです。

中間報酬は、基本合意を結んだときに払う報酬で、成功報酬の1〜2割ほどが目安です。売り手が払う場合、買い手が払う場合、両方が払う場合など、形はさまざまです。特に確かめたいのは、中間報酬が成功報酬に含まれるのか、別にかかるのかです。成功報酬4,000万円で中間報酬が400万円なら、合計4,000万円なのか4,400万円なのかで差が出ます。

このほか、毎月の報酬(月額報酬)を取る会社もまれにあります。大手の仲介会社ではほとんど見かけませんが、取引が長引くほど負担が積み上がるので、契約前に確認しておきましょう。

Q&A着手金は払うべきですか?無料のところとは何が違いますか? Q&A基本合意のときにかかる「中間報酬」とは何ですか?

契約の形も、費用と進め方に関わる

手数料と並んで確かめたいのが、契約の形です。1社にだけ任せる「専属専任」か、複数社に依頼できる「非専任」か。専任の期間はどれくらいか。契約が終わった後でも、一定期間内に成約すると報酬が発生する取り決めがあるか。こうした条件は、あとから相談先を見直すときの自由度にも関わります。

銀行と専門会社が一緒に受ける場合には、一定期間は銀行だけが買い手を探す「バンクロック」という取り決めが付くこともあります。付いているかどうか、どんな理由で付いているのかを確かめておきましょう。

※契約内容の解釈は、弁護士などの専門家と確認しながら進めてください。

Q&Aアドバイザーとの契約は「専属専任」と「非専任」のどちらがいいですか? Q&A銀行との契約で出てくる「バンクロック」とは何ですか?付いていたらどうすればいいですか?Q&AM&Aの報酬は誰が払うのですか?買い手からも報酬を受け取る仲介は大丈夫ですか?

見積もりを取ったら確かめたい3つのこと

複数の会社から見積もりを取ったら、少なくとも次の3つを並べて比べてみてください。

01

成功報酬の母数は何ですか?

総資産か譲渡対価か。料率表があれば、想定する譲渡価格で自分でも計算できます。

02

最低報酬はいくらですか?

500万円なのか、2,000万円なのか。高いほうを選ぶなら、その理由を自分の中で持っておきます。

03

中間報酬は成功報酬に含まれますか?

含まれるのか、別にかかるのか。いらないお金を払わないための確認です。

動画で見るM&A仲介手数料|レーマン方式と最低成功報酬の決まり方【教えて野﨑さん】

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安さだけで選ばず、中身を比べてから決める

手数料が安ければいい、というわけでもありません。成功報酬が安くても、買い手を探す力や交渉の力が足りなければ、譲渡価格そのものが下がったり、トラブルにつながったりすることがあります。ある程度信頼できる相談先どうしを比べるという前提で、細かな条件まで見ていくのが現実的です。

一方で、譲渡価格が1億円を下回るような会社では、仲介の仕事をひとまとめで頼むと手数料の割合が重くなりがちです。会社の価値の評価は会計士に、契約書の確認は弁護士に、全体の取りまとめはフリーのアドバイザーに、というように仕事を分けて頼む方法もあります。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

M&Aは、入り口の設計を間違えると最後まで間違えます。手数料は、いくらお金を払うかの根拠になる大切な部分です。知ってから決める。それが後悔しないM&Aの最初の一歩だと思います。

見積もりに違和感があったり、比べ方が分からなかったりする場合は、遠慮なく相談してください。今すぐ売ると決めていなくても構いません。

動画で見るM&Aの仲介手数料2,000万円は高すぎ? もっと安く抑える方法【教えて野﨑さん】

▶ 7:46 から再生されます

よくある質問

Q着手金が無料の会社のほうがいいのでしょうか?

A一概には言えません。着手金を取る会社は、その費用で会社の評価や資料づくりを丁寧に行うと説明することが多いです。払うことで何が変わるのかを確かめて、比べたうえで決めることをおすすめします。

Q手数料は、売り手だけが払うのですか?

A仲介の場合、売り手と買い手の両方から報酬を受け取るのが一般的です。買い手の負担も重いと取引がまとまりにくくなることがあるため、特に小さな会社では、取引全体の費用も意識しておくとよいと思います。

Q譲渡価格が1億円未満の小さな会社でも相談できますか?

A相談できます。規模が小さい会社ほど、最低報酬の水準が合う相談先を選ぶことが大切です。会社の規模に合った相談先を一緒に考えます。

Qすでに契約してしまいました。今から条件を確かめても意味はありますか?

Aあります。最終契約と代金の決済までは、確認や見直しの余地があります。契約内容に不安があれば、セカンドオピニオンとしてご相談ください。

GUIDEM&Aのセカンドオピニオン|進行中の話に違和感があるとき、契約前に確かめたいこと

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手数料の見積もり、
第三者の目で比べられます

複数の見積もりの見比べ方が分からない、今の条件が妥当か確かめたい、という段階からご相談いただけます。会社の規模に合う相談先もご紹介できます。初回のご相談は無償です。

野﨑繁裕

WRITER

野﨑 繁裕

株式会社M&Aスタジオ 代表取締役CEO/中小企業診断士

滋賀銀行に2003年入行。法人融資を経て2014年から本部でM&Aアドバイザリーに従事し、2015年からの日本M&Aセンターへの出向を含む8年間で49件のM&A成約に関与。2022年よりM&Aスタジオ代表。著書『M&Aはアドバイザー選びが9割!』。YouTube「M&A STUDIO」でM&Aの実情を発信中。代表メッセージを読む

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