税制が変わる前に、急いで売ったほうがいいですか?
2027年分から、売却益がとても大きい人の税負担が増える改正が決まっています。そのため、もともと2027年ごろに売るつもりだったなら、少し前倒しで動くのは選択肢の一つです。ただし、税金のためだけに急いで、買収監査(DD)を省くなど必要な手順を飛ばすのは危険です。あとから問題が見つかれば、損害賠償で税金以上のお金を失うこともあります。売るかどうか、いつ売るかは、税金だけでなく、社長の年齢やライフプラン、事業への思いによって決めるものです。
- 2027年分から、売却益がとても大きい場合の税負担が増える
- もともと近いうちに売るつもりなら、前倒しは選択肢の一つ
- 税金のために手順を飛ばすのは危険
- 売るかどうかは、税金だけで決めない
2027年分から、何が変わるのか
所得がとても多い人の税負担を見直す制度(いわゆるミニマムタックス)が、2026年3月31日に成立した改正法で強化されました。株の売却益は通常、所得税と住民税などをあわせて約20%の税率ですが、所得がとても大きい場合は、追加の税負担が生じる仕組みです。
| 項目 | 2026年分まで | 2027年分から |
|---|---|---|
| 差し引く金額(特別控除額) | 2026年分まで3億3,000万円 | 2027年分から1億6,500万円 |
| 追加の負担を計算する税率 | 2026年分まで22.5% | 2027年分から30% |
| 追加の負担が出る目安 | 2026年分までおおむね10億円超 | 2027年分からおおむね3億4,000万円超 |
※「追加の負担が出る目安」は、株の売却益だけで、ほかに所得がない場合のおおよその金額です。
※税金の仕組みは2026年10月時点の制度にもとづく一般的な説明です。実際の税額は、ほかの所得や個別の事情、今後の制度の変更によって変わります。必ず税理士などの専門家と確認してください。
これまでは10億円を超えるような大きな売却でなければ関係のない制度でしたが、2027年分からは、数億円規模の会社の売却でも影響が出る可能性があります。
10億円の譲渡は頻繁にはないですけど、4億とか5億とかの譲渡は結構よく見ますので、視聴者の皆さんも関心が強いところかと思います。10億とか20億で会社を売る社長であっても、役員報酬が何億円というケースは少ないと思うんですよね。ですから、この税はもう明らかに、M&Aで会社を売る方が関心を持つべき税ということですよね。
動画で見る【M&A後の手取りが激減!?】税率20%→35%超時代の対策をM&A会計士が解説【M&Aクオリティ/澤村八大】
▶ 4:15 から再生されます近いうちに売るつもりなら、前倒しは選択肢の一つ
どうせ売るなら税金が少ないほうがいい、と考えるのは自然なことです。2026年中に売ろうという動きが増える可能性もあります。
例えば今2026年だと思うんですけど、来年に売却しようということも想定している方であれば、1年ぐらいだったら前倒しで取り組むのはありだと思うんですよね。税の話なので細かい論点があって、はっきりとは言わないですけど、税金が上がることは間違いないということですから。
動画で見る【M&Aで後悔しないために】会社売却の最適な時期とイグジット後のお金のリアル【教えて野﨑さん/第33回】
▶ 17:13 から再生されますただし、どの年の所得として扱われるかは、原則として株を引き渡した日で決まります(契約の日を選べる場合もあります)。年末ぎりぎりの日程で進める場合は、税理士と必ず確認してください。
※契約内容や法律・税金の扱いは、弁護士や税理士などの専門家と確認しながら進めてください。
税金のために手順を飛ばすのは危険
野﨑がインタビューしたM&A専門の会計士は、年末に間に合わせるために、買収監査を省いて「何かあれば表明保証で責任を持つから、このまま買ってほしい」とまとめようとする動きに注意が必要だと話しています。買収監査をしていれば価格で調整できた問題が、あとから見つかって損害賠償を求められると、税金どころではなくなってしまうからです。
できれば2026年中に、ということなんでしょうけど、それよりも正しいプロセスをしっかり踏んでやったほうが安全です、という話ですね。
動画で見る【M&A後の手取りが激減!?】税率20%→35%超時代の対策をM&A会計士が解説【M&Aクオリティ/澤村八大】
▶ 10:14 から再生されます代金を何年かに分けて受け取る形(アーンアウトなど)にすれば税金が軽くなる、という話が出ることもあります。ただ、契約の内容によっては、売った年にまとめて課税されたり、ほかの所得と合わせて高い税率で課税されたりするリスクもあると、この会計士は指摘しています。
節税をうたう話には、慎重に
会社を売ると大きなお金が入り、税金も大きくなります。そのタイミングで、税金を減らせるという投資や仕組みを勧められることもあります。
会社を売るときは大きなお金が入ってくる、あるいは税金もたくさんかかるということで、意思決定にバイアスがかかってしまう可能性があるんですよね。ぽっかり心に穴が開くから新しい投資をしませんか、みたいなものも勧められやすいので、ここは気をつけてくださいという話です。くれぐれも、節税に目がくらまないようにしていただきたいと思います。
動画で見る【M&A後の手取りが激減!?】税率20%→35%超時代の対策をM&A会計士が解説【M&Aクオリティ/澤村八大】
▶ 17:29 から再生されます
税理士さんに相談するときも、ここはやっぱり、お互いのリテラシーを高めていかないといけないんですよね。我々のような動画を見ていただきながら、何かしら学んでいただくことは、すごく意味があるんじゃないかと思います。
動画で見る【M&A後の手取りが激減!?】税率20%→35%超時代の対策をM&A会計士が解説【M&Aクオリティ/澤村八大】
▶ 13:34 から再生されます売るかどうかは、税金だけで決めない
税金が増えるなら、売らずに続けたほうがいいのでは、と考える方もいるでしょう。野﨑は、それも人それぞれだと話しています。
それはやっぱり、経営者の年齢とかライフプランとか、事業に対する熱量によって変わると思うんですよね。置かれている状況は皆さんそれぞれ違いますし、例えば事業の成長が頭打ちだと思っている方は、そこで売って別の事業をやったほうがいいケースもあるでしょうし、その事業が生み出している利益や、売却で想定できるリターンによって、戦略は全然変わってくると思います。
動画で見る【M&Aで後悔しないために】会社売却の最適な時期とイグジット後のお金のリアル【教えて野﨑さん/第33回】
▶ 18:19 から再生されます税制の改正を踏まえて、整理しておきたいこと
- もともとの予定税金の話がなくても、近いうちに売るつもりだったか
- 売却額の見通し売却益が、追加の負担が出る目安を超えそうか
- 日程今から進めて、無理なく手順を踏める時間があるか
- 相談先M&Aの税金に詳しい税理士と、手取りを試算したか
FIRST STEP
売ると決めていなくても、
選択肢を一緒に並べられます
売る、継ぐ、今は売らずに会社を良くする。どれが合うかは、社長の人生の計画と会社の状態によって変わります。まだ何も決めていない段階でも構いません。初回のご相談は無償です。
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