売却代金を株式と役員退職金に分けると、手取りは変わりますか?
変わることがあります。M&Aの対価は、株式の代金と、社長が退任するときの役員退職金に分けて受け取ることが多く、その分け方によって社長の手取りが変わります。退職金は、株の譲渡益とは税金の計算の仕方が違うためです。また、退職金は会社の費用になるので、買い手にとってもメリットがあることが多いものです。ただし、退職金を多くすればするほど得、とは限りません。いくらにするのがいいかは、税理士に試算してもらってから決めてください。
- 対価は、株式の代金と役員退職金に分けることが多い
- 分け方によって、社長の手取りが変わる
- 退職金は会社の費用になり、買い手にもメリットがある
- 最適な金額は、税理士に試算してもらって決める
対価は、株式と退職金に分けることが多い
M&Aで会社を売るとき、社長が受け取るお金は、株式の代金だけとは限りません。社長が退任するタイミングで、会社から役員退職金を受け取り、残りを株式の代金として受け取る、という形をとることがよくあります。
M&Aの譲渡対価は、株式の譲渡対価と退職金に分割されて支給されることが多いです。その場合、退職金の金額によって売り手さんの手取りは変動します。また、買い手さんからすれば、最大限損金を計上できるほうが望ましいケースが多いんですね。この2つをしっかりと押さえていただきまして、納得のいく譲渡決断をいただければと思います。
動画で見る【知らないとヤバい!節税のカラクリ】会社売却時に退職金の活用で手取りを最大化する方法【M&Aを漫画で解説/第33話】
▶ 8:42 から再生されます退職金は、株の譲渡益とは税金の計算が違う
株の譲渡益には、所得税と住民税などをあわせて約20%の税金がかかります。一方、退職金は「退職所得」として扱われ、勤めた年数に応じた控除や、一定の条件で課税の対象を半分にする仕組みなどがあります。そのため、同じ金額を受け取っても、どちらで受け取るかによって手元に残る金額が変わることがあります。
ただし、役員として勤めた期間が短い場合など、半分にする仕組みが使えないケースもあります。退職金として認められるには、実際に退任していることなどの条件もあります。
※税金の仕組みは2026年10月時点の制度にもとづく一般的な説明です。実際の税額は、ほかの所得や個別の事情、今後の制度の変更によって変わります。必ず税理士などの専門家と確認してください。
退職金は、買い手にとってもメリットがある
退職金は会社の費用(損金)になります。買い手から見ると、買った会社に費用が出るぶん、税金を抑えられることになります。そのため、退職金を組み合わせることは、売り手と買い手の両方にメリットが出ることが多いのです。
野﨑の漫画動画には、5億円での株式譲渡の話がまとまりかけたところで、買い手から「全額を退職金で支払いたい」と求められる場面が出てきます。社長は「お金に色はない」と気にしませんが、アドバイザーは、受け取り方で手取りに大きな差が出ることを示し、社長の手取りが最も多くなる退職金の金額を試算します。
※漫画は、野﨑の経験をもとに再構成したフィクションです。
動画で見る【知らないとヤバい!節税のカラクリ】会社売却時に退職金の活用で手取りを最大化する方法【M&Aを漫画で解説/第33話】
▶ 2:04 から再生されます退職金の金額には、目安の計算がある
役員退職金は、いくらでも払えるわけではありません。税金のうえで適正とされる金額の考え方として、「最終の役員報酬の月額×役員として勤めた年数×功績倍率」で計算する方法がよく使われます。漫画では、月額500万円・40年・功績倍率3倍で、6億円まで取れる計算になる例が出てきます。
| 要素 | 内容 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 最終の役員報酬の月額 | 内容退任するときの報酬の月額 | 気をつけたいこと直前に急に上げると、税務上の問題になることがある |
| 役員として勤めた年数 | 内容役員だった期間 | 気をつけたいこと短い場合は、税金の扱いが変わることがある |
| 功績倍率 | 内容会社への貢献度などを考えた倍率 | 気をつけたいこと高すぎると、適正な金額として認められないことがある |
※数字は考え方を説明するための例です。実際の価格は、会社の中身と買い手との交渉によって決まります。
※契約内容や法律・税金の扱いは、弁護士や税理士などの専門家と確認しながら進めてください。
退職金を多くすれば得、とは限らない
退職金を払うと会社のお金が減るので、そのぶん株の価格は下がります。株の代金と退職金の合計で考える必要があり、退職金を多くするほど手取りが増えるわけではありません。漫画でも、社長の手取りが最も多くなるのは、全額を退職金にした場合ではなく、一部を退職金にした場合でした。
本当はこのようにしておいたほうが自分にとっては得だったのに、ということは、数百万とか、やり方によっては数千万変わることもあると思うんです。こういうことが分からないままM&Aが実行されてしまっていることは、本当にたくさんあると思います。
動画で見る【知らないとヤバい!節税のカラクリ】会社売却時に退職金の活用で手取りを最大化する方法【M&Aを漫画で解説/第33話】
▶ 7:19 から再生されます説明がないまま進んでいたら、一度確かめる
退職金の組み合わせは、専門家の間では当たり前の論点です。それでも、説明がないまま話が進んでいるケースもあります。
譲渡対価の内訳は、株式の価格と退職金に分割されることが結構多いんですけど、退職金で一部取ったほうが譲渡オーナーさんの手取りが多くなるというのは、専門家の中では当たり前の話です。また、買い手から見ても、退職金で出したほうが損金を取れるからいいんですよね。
でも、そんな説明もなされずに仲介者が進めていた案件があって、指摘を入れたら、オーナーさんの手取りが数百万円上がったということがありました。ちゃんとしたアドバイザーは、こんなことを私が言わなくてもしっかりやっています。
動画で見る【M&A仲介任せは絶対NG】経営者が見落とす最終契約書の盲点とトラブル回避術【M&Aジャーニー/第4回】
▶ 3:14 から再生されます※個別のケースです。どの会社でも同じ結果になるわけではありません。
退職金について確かめておきたいこと
- 手取りの試算株の代金と退職金の分け方で、手取りがどう変わるか
- 金額の根拠報酬の月額・勤めた年数・功績倍率は適正か
- 退任の形退職金として認められる形で退任するか
- 基本合意での取り決め退職金を含めた条件が、早い段階で書面に残っているか
PROCESS
どの段階からでも、
進め方を一緒に確かめられます
これから相談先を決める段階でも、すでにアドバイザーと話が進んでいる段階でも構いません。会社の状況と目的に合う進め方とアドバイザーを、一緒に整理します。ご相談から選定までの費用はいただきません。
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