売る前に、売り手側で先に財務の調査(DD)をしておくと何が変わりますか?

  • カテゴリ解説記事
  • 公開日2026年10月14日
売る前に、売り手側で先に財務の調査(DD)をしておくと何が変わりますか?
短い答え野﨑が答えます

売り手側で先に財務の論点を洗い出しておくと、買い手の買収監査(DD)で問題が見つかって、価格が下がったり話がなくなったりするリスクを減らしやすくなります。売り手の社長が最初に抱いた期待と、買収監査のあとの条件の差が大きいほど、合意は難しくなるからです。しっかりした仲介会社は「案件化」の段階で同じような確認をしますが、買い手の目線を持つ財務の専門家が入口で整理すると、さらに安定した状態で買い手に持ち込める、というのが野﨑の見方です。

  • 買収監査で見つかる問題は、値下げやブレイクの原因になる
  • 入口で論点を洗い出しておけば、先に対処できる
  • しっかりした仲介会社も、案件化で同じような確認をしている
  • 費用や範囲は会社によって違うので、必要かどうかから相談する

買収監査で問題が見つかると、価格は下がりやすい

M&Aでは、基本合意のあとに買い手が買収監査(デューデリジェンス、DD)を行い、財務や法務の中身を確かめます。ここで想定外のリスクが見つかると、最初に話していた価格から下げてほしいと言われたり、話そのものがなくなったりすることがあります。

野﨑が財務DDの専門家にインタビューした動画では、こうした値下がりを避けるために、売り手側に立って先に財務の内容や管理体制を整えておくサービスが紹介されています。

Q&A買収監査(デューデリジェンス)では、何を調べられるのですか?

しっかりした仲介会社は「案件化」で論点を押さえている

売り手側で先に確認をすることは、特別なことではありません。きちんとした仲介会社であれば、最初の準備の段階で同じような確認をしています。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

売り手側でDDをやるという話ですが、仲介会社でもしっかりした会社の場合はきちっとやっていらっしゃって、資料を最初に全部いただいて、買収監査ほどではないですけども、押さえるべきポイントを全部押さえたうえで企業価値評価をします。案件化という作業で、しっかりしたプロセスを踏んでいるんですね。

それとの違いは、上場企業の会計監査や財務DDを長く経験してきた、買い手側の目線を持つ人が、後の買収監査に耐える情報整理を最初に売り手側でやってしまう、という点です。

動画で見る交渉失敗のリスクを事前に潰す!戦略的財務DD活用法【財務DDのプロにインタビュー】

▶ 10:04 から再生されます
Q&A「案件化」とは何ですか?なぜ最初の準備が大切なのですか?

入口で論点を潰すと、ブレイクのリスクが減る

売り手の社長は、最初に聞いた株価のイメージを持って話を進めます。買収監査のあとに条件が大きく下がると、気持ちのうえでも納得しにくくなります。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

入口で論点が全部潰れていたら、案件がブレイクするリスクも減ります。売り手さんの期待値が最初こうなっているところから、買収監査でこう下がったら、案件がブレイクする確率は増えますよね。売り手さんからしても、自分の期待を下回ったら合意しにくいじゃないですか。そこをプロが入口でしっかりやると、安定感のある状態で買い手に持ち込める。これは非常に安心感があると思いました。

動画で見る交渉失敗のリスクを事前に潰す!戦略的財務DD活用法【財務DDのプロにインタビュー】

▶ 11:46 から再生されます
進め方 入口 買収監査のあと
入口の確認が浅い 入口期待する株価が高めのまま進む 買収監査のあと問題が見つかり、値下げやブレイクになりやすい
入口で論点を整理する 入口問題を先に把握し、対処や説明を準備する 買収監査のあと大きな値下げやブレイクを減らしやすい

※数字は考え方を説明するための例です。実際の価格は、会社の中身と買い手との交渉によって決まります。

必要かどうかは、会社の状態と規模で考える

売り手側で財務の専門家に入ってもらうと、そのぶん費用もかかります。会社の規模や、決算の内容に不安があるかどうかによって、必要な範囲は変わります。まずは自社の決算書を見てもらい、どこに論点がありそうかを知るところから始めても構いません。

先に確認しておきたい論点の例

  • 在庫や売掛金回収できない売掛金や、使えない在庫が残っていないか
  • 減価償却本来すべき償却をしているか
  • 未払いのもの残業代や社会保険など、払うべきものが残っていないか
  • 税務過去の処理で、指摘を受けそうなところがないか
Q&A会社の評価額を下げてしまうのは、どんなことですか?Q&A利益が出ているのに、株価算定で「実態は赤字」と言われました。なぜですか?GUIDE会社の価値はどう決まる?|株価の決まり方と、売る前から企業価値を高めるためにできること

FIRST STEP

売るか決めていなくても、
会社の今の価値を確かめられます

値段だけ知りたい、という段階でも構いません。今の価値を知ったうえで、売る・売らない・伸ばしてから考える、どれを選ぶかは社長の自由です。初回のご相談は無償です。

野﨑繁裕

WRITER

野﨑 繁裕

株式会社M&Aスタジオ 代表取締役CEO/中小企業診断士

滋賀銀行に2003年入行。法人融資を経て2014年から本部でM&Aアドバイザリーに従事し、2015年からの日本M&Aセンターへの出向を含む8年間で49件のM&A成約に関与。2022年よりM&Aスタジオ代表。著書『M&Aはアドバイザー選びが9割!』。YouTube「M&A STUDIO」でM&Aの実情を発信中。代表メッセージを読む

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