株主が分散していて、ほかの株主が株を売ってくれません。どうすればいいですか?

  • カテゴリ解説記事
  • 公開日2026年10月14日
株主が分散していて、ほかの株主が株を売ってくれません。どうすればいいですか?
短い答え野﨑が答えます

多くの場合、応じてもらえない理由は買い取りの価格です。額面のような低い価格で頼むと、断られることがよくあります。アドバイザーと進めて買い手と基本合意を結び、そこで合意した株価と同じ条件で買い取る(一緒に譲渡する)と伝えると、話が進みやすくなります。

  • M&Aでは、株を100%まとめて譲るのが原則
  • 額面での買い取りは、今の会社の価値とかけ離れていることが多い
  • 先に安く買い集めるより、M&Aで決まる株価で買い取るほうが納得を得やすい

M&Aでは、株を100%まとめて譲るのが原則

中小企業では、創業のときに出資してくれた人や親族などに株が分かれていることが少なくありません。M&Aでは、株を100%まとめて譲るのが原則なので、ほかの株主にも同意してもらう必要があります。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

第三者に株を持たせてはいけない、とは言いません。ただ、会社の利益やその積み重ねは、最終的に株主のものになります。会社の価値を高めることに関わらない人に、むやみに株を持たせるのは避けたほうがいいと思います。

株が分散している状態でも、M&Aを進めることはできます。

応じてもらえない理由は、たいてい価格

たとえば、社長が5割、創業時に出資した2人が2.5割ずつ株を持っている会社のケースです。社長がほかの2人に株を譲ってほしいと頼んだところ、「急がなくてもいいじゃないか」と断られてしまいました。

項目 1株あたり
社長が示した買い取り価格(額面) 1株あたり50円
純資産から見た株の価値 1株あたり5万円(額面の1,000倍)
野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

株を買い集めたいのに応じてもらえない、という話は何度も経験しています。客観的に見ると、買い取りの価格が低すぎるのが理由のことがほとんどです。相手が銀行員や会社の役員など、ある程度知識のある方なら、なおさらその価格では応じられないですよね。そのずれを正すと、すっと前に進むことが多かったです。

動画で見る株式が分散している場合の対処法|非協力的な株主との交渉【M&Aを漫画で解説】

▶ 5:43 から再生されます

※個別のケースです。どの会社でも同じ結果になるわけではありません。

M&Aで決まる株価で買い取る、と伝える

では、どんな価格なら応じてもらいやすいのか。一つの方法は、先に買い集めるのではなく、まずアドバイザーと契約して買い手を探し、基本合意で決まった株価で、ほかの株主にも申し出るやり方です。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

社長の利益だけを考えるなら、売れる見込みの価格より低く先に買い取ったほうが得、という見方もあると思います。ただ、近いうちにM&Aをするのなら、それを見越して安く買い集めた、と受け取られる可能性も高い。M&Aで算定された株価で買い取るのはフェアですし、ほかの株主さんも気持ちよく応じてくれるのではないかと思います。

動画で見る株式が分散している場合の対処法|非協力的な株主との交渉【M&Aを漫画で解説】

▶ 7:19 から再生されます

進める順番

STEP 1

方針を伝える

アドバイザーと契約する前に、M&Aを考えていること、決まった株価で買い取るつもりであることを、ほかの株主に伝えておく

STEP 2

買い手と基本合意

アドバイザーと進めて買い手を探し、株価の大枠を合意する

STEP 3

同じ株価で申し出る

合意した株価をもとに、ほかの株主に買い取り(一緒の譲渡)を申し出る

利益の積み重ねで株の価値が最初より大きく上がっている会社ほど、この進め方で話がまとまりやすくなります。株主の構成や会社の定款によって進め方は変わるので、早めにアドバイザーや専門家と相談しておくと安心です。

※契約内容や法律・税金の扱いは、弁護士や税理士などの専門家と確認しながら進めてください。

Q&A基本合意契約には、どんな拘束力がありますか?

Q株が分散していると、そもそも売れないのでしょうか?

A分散していても、M&Aを進めることはできます。ほかの株主にどう同意してもらうかを、早い段階からアドバイザーと相談しておくことが大切です。

Qできれば、M&Aの前に株を集めておきたいのですが。

A事前に集められれば理想的です。ただ、価格が今の会社の価値とかけ離れていると、応じてもらえなかったり、関係がこじれたりすることがあります。価格の決め方は、専門家と相談してください。

GUIDE会社売却の流れ|相談から引き継ぎまでのステップと、各段階で社長が気をつけたいこと

PROCESS

どの段階からでも、
進め方を一緒に確かめられます

これから相談先を決める段階でも、すでにアドバイザーと話が進んでいる段階でも構いません。会社の状況と目的に合う進め方とアドバイザーを、一緒に整理します。ご相談から選定までの費用はいただきません。

野﨑繁裕

WRITER

野﨑 繁裕

株式会社M&Aスタジオ 代表取締役CEO/中小企業診断士

滋賀銀行に2003年入行。法人融資を経て2014年から本部でM&Aアドバイザリーに従事し、2015年からの日本M&Aセンターへの出向を含む8年間で49件のM&A成約に関与。2022年よりM&Aスタジオ代表。著書『M&Aはアドバイザー選びが9割!』。YouTube「M&A STUDIO」でM&Aの実情を発信中。代表メッセージを読む

関連する記事