会社売却の流れ|相談から引き継ぎまでのステップと、各段階で社長が気をつけたいこと

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  • 公開日2026年10月13日
会社売却の流れ|相談から引き継ぎまでのステップと、各段階で社長が気をつけたいこと
結論先に答えを知りたい方へ

会社売却は、アドバイザー選び → 情報の整理 → 買い手探し → トップ面談 → 基本合意 → 買収監査 → 最終契約・代金の決済の順に進みます。アドバイザーと契約してから代金の決済までは、1年ほどで決まる会社が多く、引き継ぎまで含めると2〜3年ほどみておくと安心です。

  • 一番大事なのは入口。アドバイザー選びと、最初の情報の整理で結果が大きく変わる
  • 基本合意からは1社とだけ交渉する。最後まで気を抜かない
  • 相談すること自体は、売ると決める前からできる

会社を売るとしたら、何から始めて、どのくらいの時間がかかるのか。途中で何が起きるのか。全体が見えないまま話を進めるのは、誰でも不安です。

流れを知っておくと、今どこにいて、次に何が来るのかが分かります。それだけで、焦って判断することがぐっと減ります。この記事では、銀行でM&Aに携わってきた立場から、相談から引き継ぎまでのステップと、各段階で社長が気をつけたいことをまとめます。

会社売却の流れは、10のステップ

ステップ やること 社長が気をつけたいこと
1. アドバイザーを選ぶ やること仲介会社やFAなど、相談先を決めて契約する 社長が気をつけたいこと1社だけで決めず、比べてから選ぶ
2. 情報を整理する(案件化) やること会社の価値の算定と、買い手向けの会社紹介資料をつくる 社長が気をつけたいこと不利なことも含めて、最初に正直に伝える
3. 候補先を選ぶ やること打診する買い手のリストをつくる 社長が気をつけたいこと打診してほしくない先は、はっきり伝える
4. 候補先に打診する やること社名を伏せた資料で関心を確かめ、秘密保持契約を結んでから詳しく伝える 社長が気をつけたいこと広く当たるほど、情報が広がる心配も増える
5. 買い手の正式な検討 やること買い手がアドバイザーと契約し、本格的に検討する 社長が気をつけたいこと買い手が費用を払っているかで、本気度が分かる
6. トップ面談・意向表明 やること社長どうしが会い、買い手が条件を書面で示す 社長が気をつけたいこと複数の候補から選べると、納得感が高まる
7. 基本合意 やること条件の大枠を決め、1社に独占交渉権を与える 社長が気をつけたいことここから1対1の交渉になる。気を抜かない
8. 買収監査 やること買い手が会計士などを入れて会社を詳しく調べる 社長が気をつけたいこと最初に隠したことは、ここで見つかる
9. 最終契約 やること価格や引き継ぎの条件、保証の範囲などを細かく決める 社長が気をつけたいこと仲介会社任せにせず、専門家と確認する
10. 代金の決済・引き継ぎ やること代金が支払われ、株主が替わる。社員への説明や引き継ぎが始まる 社長が気をつけたいこと社員への伝え方と、自分が残る期間を準備しておく

動画で見るゼロから分かる会社売却の基本の流れ【教えて野﨑さん】

▶ 0:36 から再生されます

最初が肝心:アドバイザー選びと情報の整理

自分で買い手を探して交渉するのは、ほとんどの社長にとって現実的ではありません。まずは相談先を選び、契約します。仲介会社やFAなど、相談先によって立場も得意分野も違うので、1社だけで決めずに比べてから選ぶことが大切です。

契約したら、最初に「案件化」と呼ばれる情報の整理をします。会社の価値を算定し、ビジネスの仕組みや社員、取引先、資産などを1冊にまとめた会社紹介の資料をつくります。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

ここをおろそかにすると、基本合意のあとの買収監査で、思わぬ不良資産や帳簿にない負債が見つかって、話がまとまらなくなることがあります。最初の段階で、財務や税務、法務の面をしっかり確認しておくことが本当に大事です。

それと、ここで社長と期待する株価を正しくすり合わせておかないと、買い手にも意向を伝えられません。妥当な範囲から大きく外れていたら、それはそれで決まらないんです。

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GUIDEM&Aアドバイザーの選び方|相談先4タイプの違いと、初回面談で確かめたいことQ&A「案件化」とは何ですか?なぜ最初の準備が大切なのですか?

買い手探し:情報はどう守られるか

情報を整理したら、打診する買い手の候補を選びます。広く当たってほしいなら「ここには打診しないで」という先だけを決め、慎重に進めたいなら、優先する10社ほどから当たる方法もあります。

打診するときは、いきなり社名を出すわけではありません。まず、地域や業種、規模だけを書いた社名を伏せた資料で、買い手に関心があるかを確かめます。関心がある先とだけ秘密保持契約を結び、そこではじめて詳しい資料を渡します。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

できるだけ高く売りたいなら、広く当たるほうがいい。ただ、たくさん情報を出せば出すほど、情報が広がる心配も高まります。ここは綱引きですね。

株価だけでなく、自分の会社を伸ばしてくれる相手か、社員が納得して働ける相手か。そういう視点でも候補を考えてくれるアドバイザーなら、レベルが高いと思います。

動画で見るゼロから分かる会社売却の基本の流れ【教えて野﨑さん】

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Q&A会社を売ることが、社員や取引先に漏れないか不安です。情報はどう守られますか?Q&A買い手の候補はどう選ばれますか?上場企業に売れば安心ですか?

トップ面談と意向表明

関心を持った買い手が、自分たちのアドバイザーと契約して正式に検討を始めると、社長どうしが直接会う「トップ面談」に進みます。ホテルの会議室などで、1社あたり2時間ほど。売り手は譲渡の理由を、買い手は買収を考えた経緯を話し、そのあとは自由に話すことが多くなります。

面談のあと、買い手が前向きなら、株価や買い方、期待する効果などを書面にまとめた「意向表明書」が出てきます。複数の買い手から出てくれば、そのなかから選ぶことができます。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

買い手がアドバイザーに着手金を払って検討に入っているのか、無料で入っているのか。これで本気度がまったく違います。売り手の社長も、アドバイザーに必ず確認したほうがいい内容です。

動画で見るゼロから分かる会社売却の基本の流れ【教えて野﨑さん】

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Q&Aトップ面談では、何を準備して、どう振る舞えばいいですか?

基本合意:ここから1社とだけ交渉する

選んだ買い手と「基本合意契約」を結びます。株価の総額や買収監査の予定などを盛り込みますが、株価には法的な拘束力はありません。拘束力があるのは、買い手に与える「独占交渉権」です。多くは3〜6か月ほどで、その間は他の買い手と交渉できなくなります。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

基本合意から買収監査のあたりで、売り手と買い手の気持ちが逆転するとよく言われます。買い手はお金を払ってリスクを取りにいくので真剣になる。売り手は、売ったら旅行にでも行こうかと、気持ちがゆるみがちです。

でも、M&Aは最終契約と代金の決済までがM&Aです。最悪、話がなくなることもある。気がゆるんでいるときに話がなくなると、精神的なダメージがすごく大きいんです。最後まで気を抜かないでください。

動画で見る基本合意契約から買収監査|経営者が知るべき交渉術と心構え【M&Aジャーニー】

▶ 0:12 から再生されます
Q&A基本合意契約には、どんな拘束力がありますか?

買収監査から最終契約、代金の決済まで

基本合意のあと、買い手は自分の責任で会計士や弁護士を選び、会社を詳しく調べます(買収監査)。アドバイザーが行うものではありません。規模の小さい会社なら、財務を中心に、社員に知られないよう休日を使って数日で行うこともあります。

最初の整理で重要なことを隠していた場合、ここでほぼ見つかります。不良資産が見つかれば、その分株価が下がることもあります。逆に、入口で正直に整理しておけば、監査のあとに大きく減額されることは多くありません。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

私の経験では、入口の情報整理をきちんとやっていた案件ばかりだったこともあって、監査のあとに株価が大きく減額されたケースは5%もなかったと思います。

動画で見る基本合意契約から買収監査|経営者が知るべき交渉術と心構え【M&Aジャーニー】

▶ 3:33 から再生されます
Q&A買収監査(デューデリジェンス)では、何を調べられるのですか?Q&A株主が分散していて、ほかの株主が株を売ってくれません。どうすればいいですか?

監査の結果を踏まえて、最終契約を結びます。株価と退職金の分け方、社長が残る期間、売り手が保証する内容と、その責任を負う期間など、細かく決めていきます。代金の決済は、多くの場合、最終契約と同じ日に行われます。

Q&A最終契約書は仲介会社に任せていいですか?自分で何を確認すべきですか? Q&A株式譲渡と事業譲渡は何が違いますか?手取りが多いのはどちらですか?Q&A売却代金を株式と役員退職金に分けると、手取りは変わりますか?Q&A会社を売ったときの税金は、どう計算しますか?株の取得費が分からない場合は?

全体でどれくらいかかるか

段階 期間の目安
アドバイザーとの契約〜代金の決済 期間の目安1年ほどで半分ほどの会社が決まる。2年ほどかかる会社も2〜3割
代金の決済〜引き継ぎの完了 期間の目安1〜2年ほど残ることが多い
全体(契約〜引き継ぎ完了) 期間の目安2〜3年ほど
価値を高める準備から含めると 期間の目安5年ほど

※期間は野﨑の経験にもとづく目安です。会社の状況や買い手の見つかりやすさによって変わります。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

人気のある会社なら、半年ほどで決まることもあります。一方で、希望する株価が相場とかけ離れていると、何年も相手が見つからないこともあります。

3年後には引退したいという方なら、もう今から動き始めたほうがいいケースもあります。だからこそ、よく分からなくても、早めに相談だけはしてほしいと思っています。

動画で見るゼロから分かる会社売却の基本の流れ【教えて野﨑さん】

▶ 17:10 から再生されます
Q&A会社を売るには、相談から引き継ぎまでどれくらいかかりますか?

流れを知ったうえで、最初の一歩は軽くていい

10のステップを見ると、大変そうに感じるかもしれません。でも、最初の一歩は、売ると決めることではありません。今の状況と、これからどう生きたいかを話してみることです。

野﨑繁裕
野﨑の視点M&Aスタジオ代表・中小企業診断士

初回の面談では、なぜ売りたいのか、これからの人生をどうしたいのかを、まず聞きます。事業承継には、親族への承継、社員への承継、M&Aの3つがあります。話を聞いた結果、M&Aでなくてもいいのでは、とお伝えすることもあります。

M&Aは目的ではなく手段です。売るか売らないかに関係なく、相談に来てもらったらいいと思っています。

動画で見るM&A相談、最初に何を話す?野﨑との初回面談「7つの話題」【教えて野﨑さん】

▶ 0:54 から再生されます
Q&A初回の面談では何を話すのですか?売ると決めていなくても行っていいですか?

よくある質問

Qアドバイザーは必ず必要ですか?

A自分で買い手を見つけ、交渉や契約まで進めるのは、多くの社長にとって簡単ではありません。相談先を比べたうえで、合うアドバイザーを選ぶのが現実的です。

Q買収監査は誰が費用を払うのですか?

A買い手が自分で監査をする人を選び、費用も買い手が払うのが一般的です。売り手は資料の提出やインタビューに対応します。

Q基本合意のあとに、話がなくなることはありますか?

Aあります。買収監査で想定外のことが見つかったり、条件が折り合わなかったりすると、話がなくなることがあります。最初の情報整理を丁寧にしておくことが一番の備えです。

Q社員にはいつ伝えるのですか?

A社員への説明は、代金の決済が終わったあとが一般的です。幹部社員には、基本合意のあとに先に話すこともあります。

※契約内容や法律・税金の扱いは、弁護士や税理士などの専門家と確認しながら進めてください。

PROCESS

どの段階からでも、
進め方を一緒に確かめられます

これから相談先を決める段階でも、すでにアドバイザーと話が進んでいる段階でも構いません。会社の状況と目的に合う進め方とアドバイザーを、一緒に整理します。ご相談から選定までの費用はいただきません。

野﨑繁裕

WRITER

野﨑 繁裕

株式会社M&Aスタジオ 代表取締役CEO/中小企業診断士

滋賀銀行に2003年入行。法人融資を経て2014年から本部でM&Aアドバイザリーに従事し、2015年からの日本M&Aセンターへの出向を含む8年間で49件のM&A成約に関与。2022年よりM&Aスタジオ代表。著書『M&Aはアドバイザー選びが9割!』。YouTube「M&A STUDIO」でM&Aの実情を発信中。代表メッセージを読む

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